満月レター 9/2
「偉大なる太陽は火。ゆえに火は聖なる存在なのだ」という認識が、人類にはありました。火を尊ぶ信仰は世界各地に見られます。現代では日常からずいぶん火が遠ざかっています。時にはキャンドルの灯で食卓を囲むのはいかがでしょう。
2.MOON LETTER
9月16日(水)~30日(水)11:00~20:00 @ ルミネ新宿2:2階POPUPスペース
「あげたい」がみつかる、3 分先のコンビニ。 この場所ではエシカルでオーガニックな価値を提供し、人や社会や環境を重視するライフショップを創造します。 今の、そして未来のライフスタイルが求める、全く新しい発想のコンビニをアッシュ・ペー・フランスが提供します。
5.『月草茶房(がっそうさぼう)』児玉はる
今年に入ってからの、ある日曜日の昼下がり。友人の家でのことです。
「カバンの中で鳴ってる。電話でしょ?出てね。遠慮しないで出て」と小学校3年生の男の子。
友人は誰かからの電話を受けて、席を立っていました。ひと息ついてお茶を飲んでいると、ソファで宿題をしていた彼がテーブルについて、私に声をかけてきたのです。
「ああ、いいの。大丈夫なの。ありがとね」と言う私に、「本当に大丈夫?」と男の子。
「オンでもオフでも誰かといる時は、スマホは無視してるの。不器用だから、そうと決めないと気持ちがふわふわ、落ち着かないんだ」と答えると、「そうなの?」とまだ不安そうにちょっと眉間にシワを寄せて私を見ました。「こちらこそ、ちゃんと設定してなくてごめんなさい」と私は通知音をオフにしました。
男の子の顔が、三日前の彼女に重なりました。彼女は、トリリンガルの有能な社長秘書です。
打ち合わせで、先方の社長が離席している間、私のカバンから、かすかな振動音が響きました。すると、「ああ、出てください。すみません。いつも電話にお出にならずにのぞんでくださいますね。でも今は、気になさらずにどうぞ」と彼女は、私を気づかってくれました。
社長が離席している間、彼女は、お茶とお茶菓子を替えながら、私と軽いお喋り。社長が戻ると、社長に新しいお茶を出して「先ほどまではこういうことでしたね」と打ち合わせを滞りなく再スタート。エレガントな仕事ってこういうことなんだ、と彼女の振る舞いに、惚れ惚れしました。
男の子と彼女。二人とも、さわやかに相手を思いやる人なのです。とはいえ、33歳のキャリアを積んだ大人と9歳の小学生。彼は9歳という人生経験では、決してつちかえないものをすでに身に着けています。
電話を終えた友人がテーブルに戻ると、「ママ、戻るの遅かったね」と彼がやんわり。「うん、ちょっとバアバからだったから」と友人はにっこり。それから「お待たせしてごめんね」と私に言ったのは、友人ではなく彼でした。
秘書の彼女の美しい横顔と、彼の端正な顔立ちが重なります。二人とも生来備わっているものなのでしょうか。
「どんくさいなあ、お前」とよく先輩に叱られてきた私には、なんともうらやましい二人です。