世界の果てまで / Asian Civilisations Museum from Singapore, Ayumi

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様々な国の、日常の空気を感じられる日記です。
MOONSOAPとつながりのある方々に執筆をお願いしています。
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By Ayumi
2012年よりシンガポール在住。
ベトナム系フランス人の夫と、この春3人目の女の子が生まれ、
3人の子育てをしながら、常夏生活を満喫中。趣味はお菓子&パン作り。
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シンガポールのシンボル  マーライオンからほど近い場所に、アジア文明博物館という博物館があります。シンガポールの公用語の一つである英語では、Asian Civilisations Museumと呼ばれています。この博物館は、シンガポール博物館やシンガポールアートミュージアム、ナショナルギャラリーの存在が大きすぎて、今回、初めて訪れたのですが、行ってみてびっくり!お宝がぎっしりと詰まった、大変魅力的な、そしてシンガポールに滞在の際は訪れることを強くお勧めしたい博物館の一つであることが分かりました。

場所は前述の通り、マーライオン公園からも近く、シンガポールを創設したラッフルズ卿の像が建っている場所の横にあります。コロニアル様式の素敵な建物で、イギリス植民地時代から役所として活用されたそうです。移民局だった当時の様子は館内で見ることができました。

さて、この博物館ではお宝という名が実にふさわしい、数多くの展示物を見ることが出来ました。

ヒンドゥー教や仏教にまつわる発掘品は紀元前のもので、その多くが本物。ガラスのケースにおさめられていないので、展示物の全てを間近に感じることが出来ます。博物館の一室に、中央アジアで発掘された宗教美術の展示品がありました。それらは、信じがたいほど細密な装飾で、浮き出された神々に畏怖の念さえ抱くほどでした。誰もが感じるであろう躍動感にあふれ、今にも現代の地を踏み出しそうでした。


また、今から約20年前にインドネシアで発見された、唐の時代の沈没船で運んでいた約7万点のお宝の一部も見ることが出来ました。大海原を、沈没船から見つかった多数の陶磁器が表現します。これらの陶器は1000年以上も昔に中国で大量生産されたもので、船に積んでペルシャに戻る途中で沈没したのだそう。


写真にある白地の陶器に青色の装飾がなされている器は、染付けの原点とされ、この時代に、アラブ地方でしか取れない青色の原料コバルトが使われた器です。アラブで大変に好まれる、やしの木の柄が描かれた、中国で製造された器。シルクが流通したシルクロードと並び、陶器が流通したセラミックロードを航海する船から現代に発信されたメッセージととらえるならば、沈没船はタイムカプセルさながらです。


他には、ハリーポッターにも登場するというベゾアール石も見ることが出来ます。草食動物の胃から取れた解毒剤なのだそう。真っ黒でいかにも効き目がありそう。実力のほどは!?緻密な細工が施されたケースを見ると、その石がどれだけ貴重で、大切に扱うべきものであったかが見て取れます。

この博物館を出る頃、シンガポールは激しいスコールに見舞われていました。博物館内のエントランスで少し雨宿りをしながら、雨雲が通り過ぎるのを待ったら、次に現れたのは強い日差しでシンガポールを照らしだす太陽。

しばらくタイムマシーンに乗り、ゆったりとした時の流れに心地よく身を委ねていた私たちは、この打ち付ける太陽光線を浴びて、即座に現実に戻ったのでした。

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